†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
そう言って離れてこうとした香坂のシャ
ツを握って、止めた。
香坂が、楽しそうに笑ってる。
ムカつく。香坂の手のひらの上で、思う
ままに踊らされてる気がして。いや、多
分実際そうなんだろうけど。
でも、そうだとわかっていても──。
「……もっとちゃんとしてよ……」
「何を?」
「キス……いつもみたいなキス、して」
震える唇でどうにかそう訴えれば、小さ
く笑った香坂が近付いてきて。
「上出来」
嬉しそうにそう言って、私にさっきより
も甘いキスを落としてくれた。
香坂が銀色の鍵を取り出したら。
それは、甘い時間が始まる合図。
End.