†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
私は、持ってないから。
眩しくて近付くのすら躊躇うほどに輝く
太陽のような笑顔も。
まったく嫌味っぽくない爽やかな性格も
。私には、無いから。
だから、羨ましかった。
◆◆◆
「───……い…美怜?」
ハッと意識を整えれば、きょとんとした
優希くんが立っていて。
その真っ黒な瞳に映ったのは私だった。
「大丈夫?ボーッとしてたけど」
「うん、ちょっと物思いに耽ってた」
誤魔化すようにそう笑って、優希くんの
手を握る。
いいんだ。もう。
今彼の隣に居るのは、私だもん。
彼の瞳がいとおしそうに私を捉える。
ただ、それだけで。
END