†ゆぅぱぱ。完結作品SS集†
「あ、やべー、水筒教室に忘れてきた」
部活の途中でそんなことに気づき、俺は
慌てて教室に戻った。
水筒ないとさすがにキツいし。
教室に入ると、誰も居ないと思っていた
そこには。
「……柏木?」
オレンジ色に染まる教室の中で、一人、
柏木が机に項垂れていた。
その肩が小刻みに揺れている。時々、大
きく震えながら。
「柏木?」
柏木の近くまで歩いていって、もう一度
そう呼んでみると、柏木がビクッと反応
した。
「……っ…」
それから、押し殺したような嗚咽も聞こ
えてくる。
まさか、柏木───。
「……泣いてんの、か?」