苺な彼女と、エスカルゴな彼。
苺な彼女と、エスカルゴな彼。
プロローグ
情事が終わった後のゆっくりと流れる時間はまるで、世界に僕たちしかいないかのような錯覚を与える。
外からはシトシトと雨の音が聞こえる。
あと1週間もすれば、こんなじめじめした雨の降り方は終わりを告げ、高校生活2度目となる夏がやって来るだろう。
雨の音をかすかに耳に入れながら、僕は僕の腕枕に頭を預けてすやすやと眠る無防備な寝顔を堪能する。
並木 一縷(なみき いちる)ちゃんは僕と同い年で、僕の彼女だ。
僕は彼女を世界一可愛いと思う。
そう、一言で例えるとするならば―…
苺みたいな。
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