苺な彼女と、エスカルゴな彼。
―side ICHIRU―
トモキくんが見えなくなるまで、見送った後視線を戻すと、さっきまでトモキくんがいた場所にはカエデがいた。
「何なの、あのあまーい雰囲気!このバカップルッ」
ペシッと、わたしのおでこにしっぺをくらわすと、腕を組みながらぶつぶつと何かを言う。
「大体、あんたの彼氏かっこよすぎるっつーの!顔よし。勉強出来るし、入学直後なんか運動部から勧誘殺到だったのに、どこにも所属しないで、もったいないったらありゃしない…。
あ!でも、あの気弱な性格はあたし的にはイマイチね。まあ、それがイイ!っていう女子も沢山いるんだろうけど!
けっ。あんなに一人称で"僕"が似合う男、悔しいけど見たことないわ…」
「トモキくん、いつも気弱なわけじゃないよ?」
「ああ、アレか。セックスの時はさすがに気弱なヒツジくんといえども男の子なわけね」
また、けっと悪態をついたカエデちゃんに、その会話の内容に興味を示してか、女子がザワザワする。