苺な彼女と、エスカルゴな彼。
『今の聞いた?瀬名くん、エッチの時はやっぱ男の子なんだって』
『えー!ギャップじゃんそれ!やばいって』
『あたしも抱かれたいなあ…』
今の会話を聞いてもそうだけど、トモキくんが他の女の子に人気がある、っていうのは何となくわかってる。
でも、やっぱりこういう会話を聞くと胸がモヤモヤする。
「……」
自分でもわかる。今とても、醜い表情してるって。
嗚呼、トモキくんの目がわたししか映せなくなってしまえばいいのに。
トモキくんがわたしがトモキくんを欲するのと同じくらい、わたしをもっと、もっと欲してくれないかなあ。
そんな卑屈な考えが頭をよぎる。
「ふう…」
ため息をつくと、カエデが『あんたのため息で逃げた幸せ、あたしに分けなさいよ!』と言いながらそれを吸う。
…やっぱり、こんな日には読書をするのが1番いいに違いない。
放課後きちんと、いい顔してトモキくんに会えますように…。