苺な彼女と、エスカルゴな彼。
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『というわけでさあ、どう思う?瀬名くん』
「…いや、そう言われましても、」
『やっぱ、酔った勢いでホテルはまずかったかなあ…はあ~どうしよ、マジ。俺、ミホ先生に嫌われたらやってけねえよ……』
「…というか、先生、大事な話って、」
『大事な話っていえば、俺の恋バナに決まってんだろうが!!愛しのミホ先生への恋心に悩める俺っちが学校一番のモテ男にアドバイスを乞おうと待ってたのによお、お前ときたらすっぽかしやがって…』
「いや、その節はすみませんでした…」
『全く、俺がどんだけピュアな気持ちで待ってたと思うんだっての!!』
「はい、すみません…」
放課後の、資料室。
自称ガラスのハートの持ち主、僕の担任"欽ちゃん"はそのたくましい図体を小さく丸めてしくしくと泣き真似をした。
えーっと、何かややこしいことになってきてる気がするのは僕だけだろうか。
ちらっと、掛かっている時計に目をやるともうここに来てから一時間が経過していることに気づく。
今朝のイチルちゃんの笑顔と、甘い声色が頭を掠めて離れない。