苺な彼女と、エスカルゴな彼。
『世界を邪悪な悪の軍団"GOKIBURIズ"から守ってくれる、正義のヒーローうりトラマン!!来週はキミを助けにいくからな!!』
ジャジャージャンッ―…♪
イチルちゃんを送り届けてうちへ帰ってくると、どうやら今まで放送していたらしい、"うりトラマン"のエンディングが流れていた。
何の気なしにそれに目をやると、ふと彼を思い出す。
イチルちゃんといた、あいつ。
「……っ」
思わず僕は近くにあったリモコンのボタンに手を掛けた。
そのまま強く押すと、ニュースに切り替わるチャンネル。
『…―て、首相は早速今月29日に閣僚を―……』
へぇー、また変わったんだ。
なんて、新しい首相についてのニュースをぼんやりと見ていると、台所から冷蔵庫を閉める音がした。
振り向くと母さんがエプロン姿でキッチンから上半身を覗かせていた。
「もう、帰ってきたなら言いなさいよー。いきなりチャンネル変わってびっくりしたじゃないの」
びっくりしたという割に、いつもの調子でそう言う。