苺な彼女と、エスカルゴな彼。
「…ただいま」
一応そう言っておけさえすれば、良いだろうと思っていたのに、母さんはやはり手強かった。
「声が沈んでるよ、あんた。嘘つくならもっと上手につきなさいって」
「………別に沈んでなんかないし」
「ほら、その明らかな間!!もう、お母さんを騙したかったら、MONACAくんみたいにやりなさいよね」
ちなみに"MONACAくん"っていうのは、母さんが今、最もご執心中の若手俳優のこと。
何でも、本名が"最中"だから"MONACA"らしい。
イチルちゃんだったら、"MONACA"よりもみつやのイチゴモナカに飛びつくんだろうなあ。
「……はあ」
嗚呼…、
自分の脳の回路がすべてイチルちゃんに直結するようになってしまってることが愛しくて、哀しくてため息がおちる。