苺な彼女と、エスカルゴな彼。

――――――――――
――――――

エスカルゴ事件から一夜明けた。

いつもなら、登校してきたイチルちゃんと談笑している時間。
僕は珍しく自分の教室にいた。


「……」

本当は、会いたい。

会いたくて仕方がない。


しかしそれをさせないのは昨日、僕のとった態度だ。

イチルちゃんの手を振り払ってしまった時の彼女の表情が、ずっと頭を占領している。

あんな悲しそうな表情をさせるなんて、彼氏失格だ。




というのは建前で、本当は僕が臆病なだけなんだと思う。

イチルちゃんに、別れを切り出されたらどうしよう。


結局はそれが怖くて会いに行けない。



昨日、イチルちゃんと一緒にいたあいつ。

彼がイチルちゃんの隣で笑っていたら、どうすればいい?



所詮、僕はカタツムリ。

幾ら頑張ったって、正義のヒーローうりトラマンには勝てやしない。



「……はあ、」

イチルちゃんは、今頃どうしているんだろう…。
< 20 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop