苺な彼女と、エスカルゴな彼。
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エスカルゴ事件から一夜明けた。
いつもなら、登校してきたイチルちゃんと談笑している時間。
僕は珍しく自分の教室にいた。
「……」
本当は、会いたい。
会いたくて仕方がない。
しかしそれをさせないのは昨日、僕のとった態度だ。
イチルちゃんの手を振り払ってしまった時の彼女の表情が、ずっと頭を占領している。
あんな悲しそうな表情をさせるなんて、彼氏失格だ。
というのは建前で、本当は僕が臆病なだけなんだと思う。
イチルちゃんに、別れを切り出されたらどうしよう。
結局はそれが怖くて会いに行けない。
昨日、イチルちゃんと一緒にいたあいつ。
彼がイチルちゃんの隣で笑っていたら、どうすればいい?
所詮、僕はカタツムリ。
幾ら頑張ったって、正義のヒーローうりトラマンには勝てやしない。
「……はあ、」
イチルちゃんは、今頃どうしているんだろう…。