苺な彼女と、エスカルゴな彼。



「じゃあ、もう少しトモキくんのとこにいる」

「え、あ…うん」

そう言って、イチルちゃんはまたシーツをかぶって、僕の背中に腕をまわしてぎゅーっとしてきた。


前髪パッツンの繊細で綺麗なキャラメル色の髪は肩下20センチはあると思う。


こんな雨の降る日でもそれはまっすぐで、イチルちゃんが人と話す時、相手をまっすぐ射抜くことを思い出させる。



唇はいつもグロスをつけているけど、こうやってシーツに包(くる)まっている時はもちろんスッピンで、でもそのピンク色は自己を主張をしている。頬もそう。

シャンプーの匂いなのか、苺に似た甘い香りが鼻腔をくすぐる。



その香りの所為もあったし、一応僕も男だから今置かれてる状況ももちろんあるわけで、


「んっ」


我慢が効かなくなった僕は、イチルちゃんのその唇に自分のそれを落とした。
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