苺な彼女と、エスカルゴな彼。
「トモキくん、キス、もっと、」
こんな日々が、僕にとってはこの上ないほどの幸せなんだ。
「んっ…むぅ、」
イチルちゃんの頬はキスをする度、もっともっと鮮やかに色づいていく。
本当に、イチゴみたい。
イチゴとイチル。
何度、その一文字が違うのを残念に思っただろう。
キスを止めて僕はこう聞かずにはいられない。
「イチルちゃん、」
「はぁっ……な、に?」
「ねえ、好きな食べ物は?」
そう言うとイチルちゃんは苺色の唇の端を上げて言った。
「エスカルゴ」
見事に僕の期待を裏切る変化球。
それでも、僕はそんなイチルちゃんを含めて、イチルちゃんの全てが大好きなんだ。
惚れた弱みって言うの?