僕が君にできること
「だって!…だってあなたはスーパーアイドルでしょ?
街を歩けば知らない人はいないってほど有名な人だよ。
私なんて…せいぜいご近所さんか会社の同僚ぐらいだよ街歩いて声かけてくれるの」


訴えながら身分の違いを思い知り悲しくなった。


「俺…ここにいる時は金子鉄男です。少女漫画好きなオタクです。テレビのあいつとは別物です」


そう言ってまた私の手をとった。


「気づいていないかもしれないけど俺ここの常連なんっす。朋のことは知ってました。選ぶ本が一緒っていうか…
いつも先に取ってかれちゃって隣の部屋で読み終わるの待って…
朋が返しに行くところについて行くと目真っ赤にして、それ見てこれ面白いんだな!って読んでました」


奴は私の手を弄り愛おしそうに見つめながら語った。

「だんだん気になっちゃって…漫画より朋が」


同じように手を見つめていた視線を上げると思い切り見つめられていた。
心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかってほど高鳴っていた。


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