僕が君にできること

不確かで確かな想い

答えは出さなかった。

好きとか嫌いもなく。約束も交わさず。

不確かな関係に酔いしれたい。それで十分だった。


終電の頃一緒に店を出た。



「もし撮られたらイメージダウンだよね?一緒に出るのやばいんじゃない?」
辺りをキョロキョロしながら無意識に俯いていた。


「俺があの湯川旬に見える?」


見上げた先にはビルの上にそびえ立つ甘く微笑む湯川旬が輝いていたが。
地上の金子鉄男と見比べてみる…繋がらない。


「フフフ…」


「笑わないでくれます?」
テテは子どものように頬を膨らませた。


「俺の現実逃避はちゃんと計画されてることなんだ。今俺のアリバイとしてマンションに影武者がいるから絶対追われない」


「影武者?」
意味がわからない…。


「今度表参道でロケがあるんだけど来る?そこで謎が解けると思うよ」
そう言って意味深に微笑むと軽くキスを交わし逆方向へ歩いて行った。



テテの背中を見送りながら輝く湯川旬を見上げた。
やっぱ違う…と思った瞬間テテがカッコ悪くこけた。



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