僕が君にできること
「ちょ・・・・ちょっとごめん!!」

私はその男を突きとばし目を覚ました。危ないところだった。

そうだ私には彼がいるんだ。いけないラインを踏み超えるところだった。

「あっ・・・・ごめん。」

テレビの姿からは想像できないようなボサボサのその男は、

イタズラを怒られた子犬のように申し訳なさそうに見つめてきた。

「まっ落ち着こう…。」

自分に言い聞かせながら私は座椅子から立ち上がった。

「あっ俺飲みもんとって来ますよ」

ちょっと慌てて奴は部屋から出ていった。

部屋に1人にされると本当に夢だったのかと思ってしまう。

そう夢だったんだよ。ありえないし。抱かれたい男NO,1が一般OLと・・・・。

ない!ない!ありえない。完全にからかわれているんだ。

それもテレビの中のあの人が少女漫画好きなんて…。

おかしい…絶対変な夢だ。

椅子に座り直しほぼ常温になったdietペプシを飲んだ。

かなりまずい。

夢のはずなのにデスクには空になった烏龍茶のグラスが置き去りにされ、これは現実だと訴えていた。

これが現実としたらなんで私なんだ?

って言うか誰でもよかったんだ。そこで出会ったのが私だっただけのこと。

そりゃそうだ街の至る所にその男の広告が笑いかけ、テレビをつければ何分に1度その男はCMで視聴者を魅了する。

知らない人なんていないんじゃないかってほどすごい人。

私なんて普通のOL。

たくさんの中の1人に過ぎない。

考えれば考えるほど違う世界に悲しくなってきた。

目を覚ませ!スターのお遊びを真にうけちゃいけない!

眠気を覚ますように、首を振り自分に言い聞かせた。

アイドルだかなんだか知らないけど至って普通にあしらおう。

アイドルだかな何ですか?

そう、そのスタンスで行こう。舐められるわけにはいかない。










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