一番星
友果ちゃんは祥子さんのことを話し出した。
「祥子さんはね、あの宮崎財閥の令嬢なのよ!知ってる?あの宮崎財閥よ!」
宮崎財閥……こんな私でも知ってる有名な運営会社だ。
そんなにすごい人だったんだ…。
「そんなすごい人とあんたみたいな凡人が何を話してたのよ?」
“凡人”…。
嫌な言い方だ。
…でも……それでもいい。
「えっと…ぶつかっちゃって…。」
友果ちゃんは大きな目をさらに大きく見開いた。
ボソッ
「なっ……!あんた…」
ボソッとなにかを言った気がした。
「え?なに?」
「な…なんでもない!」
そう言って、早足でスタスタと先に行ってしまう。
「あ、待って…」