セイギ
辰巳は一連の話を聞いて

「そうですか。分かりました。あ、一ついいですか?」



そう言った。



「ん?何?どうしたの?」




「この自殺したとみられる広尾さん。何か引っかかると思って調べてみたんです。管理官は知らないんですけどね。ちょっと勝手に資料を調べてみたんです。そしたら1年前の強盗殺人未遂事件の犯人のグループの中にこの名前があったんです。それから野々村の名前も。その時の強盗殺人未遂事件の時の被害者が大山夫妻なんです。」



「え…?そうなの?その事件は確かに覚えてるけど確か被害者は重症だって話は聞いたわ。」


「はい。その時は広尾さんと野々村にはアリバイがあるって言って上が犯人グループの名前を発表する時にその2人の名前を揉み消したんです。その2人が主犯なのに。」



「へー。それでその2人は逮捕されずに済んだ。2人が付き合い始めたのはちょうどその時ね。そうか。だから私が初めにいつ頃から付き合い始めたのかっていう質問をした時に口ごもったのね。」


そう言うと受話器の向こうで辰巳が頷くのが分かった。



「要するに今回の事件は大山が1年前の犯人である野々村に復讐しようと思って現れたところに彼女である広尾さんが訪ねてきた。それで2人に復讐できると思った大山はまず広尾さんを野々村の前で犯して自分の所有物にしてから殺そうとした。はぁ…。それで、それを見てかっとなった野々村がそこに割って入って逆に殺されてしまった。ということ?」


「はい。そうですね…。何というか…。」
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