セイギ

佐伯が写真を撮ったのを見届けてから名波さんから話を聞いた。



第一発見者はこのビルの3階に住む広尾ゆかり　26歳。



彼女はマル害である野々村と付き合っていたようだ。



前に借りていた本を返そうと野々村のいる4階に来た時に、部屋のドアが開いているのを不審に思って中に入ってみるとこの状態だったそうだ。



このビルは2階までが店舗、その上が住居となっている。



「名波さん、今その広尾ゆかりさんに会うことって出来ますか?」


「多分できると思うけど。」


「ありがとうございます。」



20分後、私たちは近くの喫茶店で広尾ゆかりさんと落ち合った。


「こんにちは。私は捜査第一課の月野茜と申します。今回の殺人事件について話を伺わせてもらえますか?」



そう言いつつ、佐伯のわき腹を小突く。


「あ、自分は佐伯祐介と申します。よろしくお願いします。」



そう挨拶したのを見届け、3つコーヒーを頼んだ。



「では、まず発見するにいたった状況について話を伺わせてもらえますか?」