セイギ

「はい…。午後1時ぐらいに私がこの間健二君から借りた写真集を返さなきゃと思って電話をしたんです。それで、4階に行ったら健二君の部屋のドアが開いてて、開けて待っててくれたんだなって思って中を見たらああいう状態で…。」



「分かりました。失礼ですが、いつぐらいから野々村さんとお付き合いを?」


「えっと…、1年ぐらい前からです。私がここに越して来た時にこのあたりの地理が分からなくていろいろお店とか教えてもらってたんです。」


「そうですか。最近何か野々村さんがトラブルに会っていたとかそういう話は聞きませんでしたか?例えば仕事先などで。」



「特には…聞いてませんが。」




そう呟いた彼女の目を私はじっと見つめた。



少しおびえたような目。でも何か隠してるというような目ではなかった。



「今日はありがとうございました。また何かあったらこの名刺に書いてある電話番号に連絡してください。よろしくお願いします。」




自分の名刺を差し出しながら言う。