セイギ

店を出ると佐伯が声を掛けた。

「あの、自分思ったんですけど、あの広尾さんって何か隠してませんか?」



私は立ち止まって


「どうしてそう思うの?根拠は?」




そう聞いた。




「いつからお付き合いを始めたんですかという質問に対して少し口ごもったじゃないですか。あそこで何か隠してるんじゃないかと思って…。」




「ふーん。そうね。確かに自分が付き合い始めたのがいつかっていうのを答えるのに口ごもる必要はない。確かにおかしいと思うけどだからと言って誰かをかばっているようには思えないのよ。」



そう言った瞬間にバイブがなった。


「はい。月野です。あ、辰巳?どうしたの?うん。分かった。すぐに佐伯とそっちに向かう。」




「どうしたんですか?」



「有力な目撃証言があったの。この近くの広町交差点付近で犯行時刻である午後1時前ぐらいに白いワンボックスカーがすごいスピードで通り過ぎるのを見たっていう人がいたの。それも第一ビル方面から来たって言ってたわ。」