あいことば
「……あたしは…」
そう言ってあたしはうつむいた。
グラスのアイスをじっとみる。
「………だって…
亮ちゃんはー……」
あたしは小さな声でつぶやいた。
「? 兄貴が?」
「うぅん、何でもない!
それより、
あたしが、駿くんがしんに告りやすくしてあげる!」
「……何する気…?」
駿くんが疑いの目を向ける。
「そんな目でみないでよ!
あたしさ……
この前、先輩とモメたときにしんにヒドいこと言っちゃったんだ…。
『恋したことがない』
って。
しん、あたしに気を使って何も言わないけど、
実際、傷つけちゃったと思うんだ。
しんも、恋したことがないはずはないのに……」