あいことば
「しんっ!」
肩をつかまれたまま、声の主の方へ振り向かされる。
「…っ、駿!」
駿も部活中に抜けてきたのか、部活着のまんまだった。
駿があたしの顔を見て一瞬ビックリした。
ふだんは何があっても絶対泣かないあたしが、目に涙をためていたせいだと思う。
駿はあたしの肩をつかんだまま、まおとあたしに言った。
「浅井が、りんが売店の方にに行くのをみたって。」
「!?
ほんと!!」
駿がしっかり頷く。
「売店は見た?」
あたしとまおが首を横にふる。
それを見た駿が言葉を続ける。
「じゃあ行くぞ。」
そう言って、駿が走り出した。
あたしの手をつかんで。