あいことば
だからかー……
先輩が泣いていたのは。
先輩は、りんをいじめたかったわけじゃないんだ。
ただ、好きな人と別れたくなかっただけなんだ。
「でも、なんでりんはしっかり断らなかったの?」
「だって………」
りんが口ごもる。
あたしはじっとりんを見つめた。
「……しんには、
わからないよ。
こんな気持ちー…。
恋してないしんには。」
りんがうつむきながら言った。
恋をしていないと言う言葉は、意外にあたしの心にずっしりときた。
わかっているはずなのに、それをはっきり言われるのはなんかいやだ。
そう思いつつ、そんな思いは心にしまってりんをまっすぐにみる。