まばたきの恋
乙女心なんて気まぐれなものだ。
ガールズトークなんて洒落た名前付けちゃって。
その中身は、色恋沙汰と愚痴の二択なのにね。
みんな似たような人を好きになって、似たような付き合い方をする。
そして、似たような理由で別れてしまう。
耳にたこができるほど辺りにのろけ散らしているかと思うと、飽き足りてしまえば経験値を語って3日でへらへらしている。
人を好きになることってそんなに簡単なことなの?
現実って、少女漫画のようにそうそう甘くはない。
休み時間の度に口を開けば別れた男の愚痴ばかり。
つい最近までどんぐりの背比べみたいに、彼氏自慢大会を開いていたのに。
一度は恋焦がれた相手に、どうしてそんな酷いことが言えるのだろう。
そんな乙女心なんか。くそくらえ。
あたし、桐谷七菜子(きりたにななこ)には曲げられないポリシーがある。
心が醜くなるくらいなら、恋なんて絶対にしない、ということだ。