裏新築祝い
★
暖かい指の感触が、唇をなぞった。
薄く目をあけると、美しい女が微笑んでいた。
波打つカーテン。
開いた窓から差しこむ朝日が、彼女の短い髪を蜂蜜色に透かしている。
「おはよう、花」
凛とした声で言って、あたしを抱きしめる。
「おはよう、薫」
あたしは笑って、彼女の胸に鼻をつけた。
毎朝ベッドで抱きあうのは、小さな頃から変わらない習慣だ。
鳴り始めた目覚まし時計を止めて、双子の姉である薫は立ちあがった。
「行かないと」
「トシとデート?」
「結婚式の打ち合わせ」
「しちゃうんだね、結婚」
「うん」
薫は視線をそらしてドアに指をかけた。
そういえば、と振り返る。
「今夜、新築祝いしようって。悟から聞いた?」
「今夜? 聞いてないよ」
薄く目をあけると、美しい女が微笑んでいた。
波打つカーテン。
開いた窓から差しこむ朝日が、彼女の短い髪を蜂蜜色に透かしている。
「おはよう、花」
凛とした声で言って、あたしを抱きしめる。
「おはよう、薫」
あたしは笑って、彼女の胸に鼻をつけた。
毎朝ベッドで抱きあうのは、小さな頃から変わらない習慣だ。
鳴り始めた目覚まし時計を止めて、双子の姉である薫は立ちあがった。
「行かないと」
「トシとデート?」
「結婚式の打ち合わせ」
「しちゃうんだね、結婚」
「うん」
薫は視線をそらしてドアに指をかけた。
そういえば、と振り返る。
「今夜、新築祝いしようって。悟から聞いた?」
「今夜? 聞いてないよ」