裏新築祝い
 あたしと薫は、何よりもお互いが大事だった。

そっくりなのは容姿だけで、性格は正反対。

昔、隣に住んでいたトシ&悟兄弟に、小さい時よく虐められていたのがあたしで、虐め返していたのが薫だ。


 玄関に入ると、真新しい家の匂いがした。

トシに案内されて部屋を見て回ったあとリビングに戻ると、薫が料理を並べていた。

四人でテーブルを囲み、缶ビールをあける。

酔っぱらった悟とトシが踊り始め、あたし達は微笑ましく思いながらそれを眺めた。

 好きじゃないわけじゃない。

家族以外で一番大切なのは誰かと聞かれたら、あたしは悟と答えるし薫はトシと答えるだろう。

だけど……。


 四人分の布団を敷くと、トシが勢いよく薫を押し倒した。
「よ、新婚さん」

陽気に口笛をふいて、悟は布団に倒れた。

あたしはムッとしながら、悟の隣で横になる。
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