大好きだったよ。
すると玄関が開く音がして、


「I'm home.海潮?来てる?」


「うん!来てるよ」


「ほんとに来たのね。...何かあったの?」


「...ううん。何か来たくなっちゃっただけ」


できる限りの笑みを作って。


海には見破られてしまったけど。


「そう。いつごろ帰るの?」


お母さんは見破れなかったね。


「分かんない」


するとケータイが震えて、


ディスプレイには“美月”の文字。


「ちょっと、ごめんね。もしもし?」


『海潮?どこにいるの?』


「さぁ。どこでしょう」


『ちょ...どこ行っちゃったの?家出?ならうちに...』


「家出なんかじゃないよ」


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