幼なじみと恋物語




「……これくらいかな」




少しだけ物の少なくなった部屋を見回す



寂しいけど、さよなら



バッグを持とうとしたとき、後ろでカタンと音がした




「どこ行くんだ」


「……っとうさ……」


「どこ行くんだ!」


「いっ、やぁぁぁ……!」




数十分、たっぷりわたしを痛めつけたアイツは、家を出ていった



いつもは耐えられたのに、今日はダメだった



身体が痛くて、泣いてしまった



心が痛くて、震えてしまった



叫んだ声はガラガラで、泣いた目は腫れて、震えた身体は動かなくて



でも逃げるしかなくて



タクシーを呼んで、自分の家を、思い出を











―――――幼なじみを、捨てた











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