本屋 和正の優雅な読書
店であれだけ飲んだのに、まだ片手には缶ビール。

フラフラと体を揺らしながら、優花はトロンとした目で座っている。

焦点が合っていない。

完全に酔っ払っている。

足を閉じて座った方がいいと思うのだが、幸い乗客はこの車両に優花ともう一人、男性だけ。

しかも相当離れた位置に、吊り革に掴まって立っている。

こんなに空いているのに座らないのは甚だ疑問だが。

ともかく、ビールっ腹隠せるからという理由で普段から着ているワンピースの裾から太股が露わになっても、男性は優花の事など気にも留めない様子だった。

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