本屋 和正の優雅な読書
優花の降りる駅は、ここから5駅向こう。

しばらく電車に揺られる事になる。

ボンヤリした状態で座っていた優花は。

「ん~?」

向かいのシートの上に、文庫本が置きっ放しになっている事に気付く。

ブックカバーをかけられたままの文庫本。

「何じゃこりゃあ」

まるで這いずるように向かいの席に移動し、優花は缶ビール片手にペラペラと文庫本を捲る。

…10代の女子学生が好んで読みそうな恋愛小説。

放課後、校舎の裏に呼び出された主人公の少女が、学園一のイケメン先輩に告白されてハッピーエンドを迎えるような、よくある物語だった。

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