ダブルスウィッチ
えみりは亮介にそっと近づくと、彼の側に膝まずき寝顔を眺めた。
ホテルでもたまに眠ることはあったけど、朝までいられることはない。
だからカーテンから漏れる光に照らされた彼の寝顔など、見る機会がなかった。
「亮介さん……」
思わず小さく呟きながら、えみりは自分の指をそっと彼の頬に伸ばす。
愛しくてたまらなかった。
こんなに無防備に眠る彼をこんな風に眺めていられるなんて夢のようだとえみりは思う。
3ヶ月という期限つきだけれど、これから毎日彼と一緒にいられるのだ。
彼女がどういうつもりでえみりと入れ替わりたいと思ったのかは知らないが、妻であるという揺るぎない立場をあっさり手放すなんて信じられなかった。
「……なにしてる」
そのとき、彼の目が薄く開いた。
思いのほか冷たい声に、えみりの体はビクッとなる。
頬に触れていた指を、恐る恐る引っ込めた。
「あ……おはよう、亮介さん」
ひきつる顔を必死に笑顔に変えて、えみりはそう声をかけた。
途端に自分の声に違和感を覚える。
(なに……この声)
ホテルでもたまに眠ることはあったけど、朝までいられることはない。
だからカーテンから漏れる光に照らされた彼の寝顔など、見る機会がなかった。
「亮介さん……」
思わず小さく呟きながら、えみりは自分の指をそっと彼の頬に伸ばす。
愛しくてたまらなかった。
こんなに無防備に眠る彼をこんな風に眺めていられるなんて夢のようだとえみりは思う。
3ヶ月という期限つきだけれど、これから毎日彼と一緒にいられるのだ。
彼女がどういうつもりでえみりと入れ替わりたいと思ったのかは知らないが、妻であるという揺るぎない立場をあっさり手放すなんて信じられなかった。
「……なにしてる」
そのとき、彼の目が薄く開いた。
思いのほか冷たい声に、えみりの体はビクッとなる。
頬に触れていた指を、恐る恐る引っ込めた。
「あ……おはよう、亮介さん」
ひきつる顔を必死に笑顔に変えて、えみりはそう声をかけた。
途端に自分の声に違和感を覚える。
(なに……この声)