ダブルスウィッチ
若い体を亮介が好んでいたのなら、自分など相手にされないわけだと、彩子はその場に座り込み膝を抱えた。


完璧な体だ。


長い足は白く肌も滑らかで、脱毛しているのか毛などなくすべすべしている。


その足を抱えながら、彩子はこれからどうするか頭を働かせる。


かごの中の鳥のような生活をしてきた彩子にとって、これはチャンスとも言えるかもしれない。


この体を借りて好きなように行動することが出来るのだ。


亮介にだって、久しぶりに抱かれることが出来るかもしれない。


体は違っても中身は彩子なのだ。


彼がどんな風にこの体を抱くのか興味があった。


彩子とのおざなりなセックスとは違うのかもしれない行為。


まだ鳴り続けるスマホを眺めながら、彩子はモヤモヤする気持ちとは裏腹に薄く笑みを浮かべていた。


どうすれば彼を喜ばせられるのか、それを知ることが出来るかもしれない期待感。


もし、また元に戻ったとき、同じようにすれば彩子の方を向いてくれるかもしれないのだ。


ゆっくりと立ち上がり、Tシャツとショートパンツを脱ぎ捨てて着替えを探す。


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