ダブルスウィッチ
そんな時間を繰り返して三年、ようやく子供も諦めてこの部屋にも慣れた頃に起こった夫の変化。


愛情などない、ただ条件のみで繋がってたはずの夫婦に、転機が訪れたのかもしれない。


彩子はプレゼントされたネックレスの入った小さな紙袋から店を割り出し調べたのだ。


そこで初めて夫の浮気を知った。


クレジットカードで購入されたネックレスは2つ。


だから店の店員も覚えていた。


彩子にプレゼントされたものよりも、一回り大きなダイヤのついたネックレスを、もう一つ購入していたことを……


そのすぐあとから無言電話は始まった。


そんなことをして何になるのかはわからない。


妻への愛情など初めからなかっただろう亮介に、愛されてるのはあなたの方だと教えてあげたいと彩子は思う。


ダイヤの大きさを見たって一目瞭然だ。


亮介には珍しく、彩子に情けをかけたのかもしれない。


この落ち着かない部屋に囚われたまま、彼の帰りを待つことしか出来ない彩子ために……



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