ダブルスウィッチ
亮介がシャワーを浴びて出てくるのを、そのままぼんやりと待った。


ほどなくして出てきた亮介はガウンを羽織り、ソファーに座るえみりを見て目を細める。


「もう大丈夫なのか?えみり」


髪をタオルでゴシゴシと拭きながら、亮介は当たり前のようにえみりの隣に腰を下ろす。


「え、えぇ……

少し寝たからすっきりしたみたい」


彩子は必死に笑顔を作って、亮介に甘い声を出した。


「シャワー浴びておいで?」


大丈夫ということは、出来るということ。


亮介はもうその気になっているのだと、彩子はドキリとする。


立ち上がろうとするえみりの腕を亮介はふいに掴んで自分に引き寄せた。


そのまま唇を奪われる。


半開きの唇を寄せられ、彩子は内心動揺していた。


亮介とキスをしたのはいつ以来だろうかと。


キュッと目を瞑り、入ってきた舌の存在に戸惑いながら、なすがままになる。


最後にチュッと音を立てて唇を吸い上げられると、下腹部がキュッと収縮したような気がした。


こんなキスは経験がない、と彩子は思う。


おざなりのセックスはキスさえもおざなりだった。


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