ダブルスウィッチ
顔を背けて逃げようとするも、亮介はそれを許さない。


気づいたら、すぐ後ろにあったダブルベットに彩子は押し倒されていた。


目の前には亮介の顔。


少し首を傾げながら、えみりである顔を覗きこむ。


ふっ、と口の端を上げた亮介は、そのまま彩子の唇に自分の唇を優しく寄せた。


バスローブを両手でかきあわせたままの彩子の手を、亮介は唇を合わせたまま、ゆっくりとほどいていく。


抵抗してるつもりなのに彩子の手に力はなく、されるがままになるしかなかった。


ふいに離された唇を追い求めるような気持ちになって彩子はハッとする。


「疲れてるならやめようと思ってたけど、そういうわけじゃなさそうだな?」


「……ゃ……っ!」


亮介の手が彩子のショーツをなぞり、それがそのままさっきのセリフを言わせているんだとわかって、彩子はたまらなく恥ずかしかった。


(違う!この子の体だからよ)


抵抗しながらも濡れていることを認めたくなくて、彩子はそう責任転嫁する。


自分ならこんな風に濡れない。


そう思ったけれどすぐにそれを打ち消した。


(ほんとに……そう?)


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