ダブルスウィッチ
ただ亮介がこんな風に彩子に触れることがなかっただけかもしれない。


悔しさと哀しみと虚しさでいっぱいのくせに、彩子の体は亮介の指の動きに淫らに反応していた。


「……っ!ん……」


必死に声を押さえるように彩子は自分の手で口をふさぐ。


今まで感じたことのない波が、彩子を支配し足にぐっと力が入った。


ぴくんぴくんと体を震わせ、そのまま弛緩する。


ぐったりと体を放り出し余韻に浸っていると、亮介がまた唇を寄せてきた。


「えみり……」


「あ……亮介さ……」


ぼんやりとまだ息も整わないままに、彩子は亮介の名を愛しそうに呼んだ。


えみりと呼ばれているはずなのに、彩子自身を見てくれているような錯覚に陥る。


まだ敏感になっている濡れそぼったそこに、亮介が我慢できないといった様子で突き立ててきた。


さっきまでの波とは比べ物にならないくらいの衝撃に、彩子は我を忘れたように矯声をあげてしまう。


くるみこむように唇を合わせながら、ゆっくりと動く亮介に彩子はすっかり翻弄されていた。


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