ダブルスウィッチ
そんな彩子の不安を見抜いたのか、えみりがまた口を開く。


「私と入れ替わってまで亮介さんに愛されたかったんだって気持ちはよくわかったつもりです

だけど3ヶ月後、元に戻ったとき、また以前と同じ生活でもいいんですか?

少しでも変わりたいと思ったから、どうすれば愛されるのかを知りたかったから、入れ替わったんですよね?」


彩子は絶句した。


この子はもう前に進んでいるのだ。


彩子がまだ亮介に執着してこの体を手放すのを惜しいと感じてる間にも確実に。


「なにを……するつもり?」


えみりの気迫に押されながらも、彩子はようやくそう聞いた。


3ヶ月という期間の中で、えみりが何かをしようとしているのは明白だった。


それも自分のため、ではなく、彩子のために……


「あなたが出来なかったことを、私がしてみせます

あなたと亮介さんの結婚生活に風穴を開けて、あなたが自由になれるように

3ヶ月後、元に戻ったとき、亮介さんとどうするのかはあなたが決めればいい

それまで私は少しでも普通の夫婦になれるように頑張ってみます」


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