ダブルスウィッチ
ふ……と笑いながらえみりはそう言い切った。


そこに亮介へのこだわりは一切感じられず、彩子は逆に戸惑う。


「えみりさん

あなたはどうしたいの?

私はあなたの姿で、どう亮介さんに関わればいい?」


「それは、彩子さんが決めてくれて結構です

別れるなら別れてもいいし、私の体でまだ彼と繋がりを持ちたいのなら、そうしてくれても構わない

元々私のものじゃなかったんですから……」


少しだけ悲しげに目を伏せたえみりは、いったん言葉を切って吹っ切ったようにまた彩子を見た。


「これは、私の償いです
亮介さんの一面だけを見て、全部を奪おうとした私の……

彩子さんがどんな気持ちで亮介さんを待っていたかなんて全然お構いなしに、あんな卑劣な手で追い込んだりして……

本当に申し訳ありませんでした

亮介さんへの気持ちは嘘じゃなかったし、今でも好きって気持ちは消せないけど、でも彩子さんの長い長い片想いに比べたら、私はまだやり直せるって思うから……

あっ!すみません!勝手なこと言って……」


言い過ぎたと思ったのだろう。


えみりは慌ててそう謝ってきた。


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