ダブルスウィッチ
長い長い片想いというえみりの言葉が彩子の胸に突き刺さる。


えみりから見たら、自分はそんな風に見えているのだと。


彩子は自分の大人げなさに笑いが込み上げた。


こんなに年の離れた子が、彩子に同情し、本意ではない契約を受け入れようとしているのに、彩子は自分のことしか考えていなかったのだ。


それもこれもみんな愛されてる余裕と愛されていない焦りの差なんだろう。


「あなたの覚悟はよくわかった

私を気遣ってくれる気持ちもありがたく受け取っておくわ

だけど本当はすぐにでも元に戻りたくてここに来たんじゃないの?

だったらさっきはああ言ったけど、3ヶ月なんてもう言わない

今すぐ戻りましょう?」


彩子も覚悟を決めた。


えみりにばかりいい格好はさせてられない。


けれど驚いたことに、えみりの答えはノーだった。


「元に戻ることさえ約束していただけるなら、今すぐじゃなくても大丈夫です

むしろ、今戻っちゃったら、彩子さん変われないでしょう?

それに勝手に泊まるってメールして家を出てきたんですよ?私

叱られるのも覚悟の上ですから」


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