ダブルスウィッチ
明日には自分の体に戻り、あのワンルームの部屋のソファーベッドで目を覚ますのだろう。


そう思うとたった2日のことなのに、懐かしく思えた。


えみりはバックから携帯を取り出し、亮介からメールがないか確認してみた。


今夜、えみりに会うのなら、彩子にも連絡があるはずだ。


開いてみると、そこにはやはり亮介からのメールがあった。


『今夜は遅くなるから飯はいらない

ちゃんとするから心配しなくていい』


えみりの顔に自然と笑みがこぼれる。


今朝の話し合いはどうやら亮介にきちんと伝わったらしい。


これが今の亮介に出来る精一杯なんだろう。


壁にかかっている小洒落た時計を見ると、すでに9時を回っていた。


きっと今頃、えみりの姿をした彩子に別れを告げているのかもしれない。


少しだけ寂しい気持ちになりながら、えみりはゆっくりと湯に浸かり、それから二階の寝室へと向かった。


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