ダブルスウィッチ
「……すまない
妻には、これまでずっと辛い思いをさせてきたんだ
僕がえみりとこうして楽しい時間を過ごしてる間も、彼女はそれにじっと耐えて僕を待ち続けてた
そんな風に思ってることを知って、正直混乱した
妻も僕と同じように割り切ってるんだと思ってたから……」
やはりえみりが何か言ってくれたんだろう。
どんな気持ちで妻である彩子の代弁をしたのか、それを考えただけで胸が傷んだ。
えみりは彩子に公言した通り、夫婦を修復しようとしてくれている。
それならば、自分の役割は亮介としっかり別れることだ、と彩子は思った。
えみりは昨日、別れると言ってくれたのだから。
それでも目の前の切なそうな亮介を見ていると、それでいいんだろうか?と、彩子の心に迷いが生じる。
自分が身を引けば、惹かれ合う2人を引き離さなくて済むのだ。
亮介は彩子を愛してはいない。
それは悔しいけれど、事実なのだ。
「……亮介さん、私も楽しかったです
私の夢を応援してくれて、励まされたし、頑張ろうって思えた
だけど……奥さんに辛い思いをさせてしまったことは申し訳なく思ってます
これからは……奥さんのことを一番に考えてあげてくださいね
私は大丈夫、歌があるもの」
亮介の胸に押し付けられたまま、身を切られる思いで彩子はそう言った。
きっとえみりならそう答えるだろう言葉を探しながら。
妻には、これまでずっと辛い思いをさせてきたんだ
僕がえみりとこうして楽しい時間を過ごしてる間も、彼女はそれにじっと耐えて僕を待ち続けてた
そんな風に思ってることを知って、正直混乱した
妻も僕と同じように割り切ってるんだと思ってたから……」
やはりえみりが何か言ってくれたんだろう。
どんな気持ちで妻である彩子の代弁をしたのか、それを考えただけで胸が傷んだ。
えみりは彩子に公言した通り、夫婦を修復しようとしてくれている。
それならば、自分の役割は亮介としっかり別れることだ、と彩子は思った。
えみりは昨日、別れると言ってくれたのだから。
それでも目の前の切なそうな亮介を見ていると、それでいいんだろうか?と、彩子の心に迷いが生じる。
自分が身を引けば、惹かれ合う2人を引き離さなくて済むのだ。
亮介は彩子を愛してはいない。
それは悔しいけれど、事実なのだ。
「……亮介さん、私も楽しかったです
私の夢を応援してくれて、励まされたし、頑張ろうって思えた
だけど……奥さんに辛い思いをさせてしまったことは申し訳なく思ってます
これからは……奥さんのことを一番に考えてあげてくださいね
私は大丈夫、歌があるもの」
亮介の胸に押し付けられたまま、身を切られる思いで彩子はそう言った。
きっとえみりならそう答えるだろう言葉を探しながら。