ダブルスウィッチ
たったの2日だったのに、この部屋にいたのが遠い昔のように思えて、えみりは部屋を見回した。

彩子の性格なのだろう。

あの大きな亮介との場所と同じように、自分の部屋が片付いてることに苦笑する。

きっと観葉植物にもきちんと水を与えてくれたに違いない。

窓際の棚に並ぶそれらを見ながら、えみりはふと首を傾げた。

一つだけ枯れている鉢がある。

お気に入りだった亮介からのプレゼント。

そっと萎んだ葉先に触れると、弾力のない感触とともに、ポロリと茎から葉が落ちた。

彩子がわざとやったわけではないのはわかりきってる。

この鉢が、亮介からのプレゼントだということは、言っていないのだ。

きっとえみりと亮介の関係が終わったからなのかもしれない、とえみりはそっと目を閉じた。

しばらくそうしていただろうか?

もう一度観葉植物たちをよく見ると、土が乾いている気がした。

首を傾げながら、えみりは狭い部屋を移動する。

アルミのジョウロは近所の100均で買ったものだ。

シンクの側にそれを見つけて、えみりは思わず笑ってしまった。

きっと昨晩、彩子は水をやるつもりでこのジョウロに水を入れたのだろう。

けれど、翌朝には入れ替わっていることを想定して、えみりが水をやるだろうとやめたのだ。

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