ダブルスウィッチ
(わかりました、では金曜日にお会いしましょう)


そう返信してゴロンと大の字に寝転がる。


まさか自分がこんな風になるなんて予想もしていなかった。


どちらかというと潔癖なえみりに限って、不倫などありえないと思っていたから。


まだそこには至っていないけれど、そうなってもいいと思っている自分に驚いていた。


奥さんのいる人に興味を持つなんて冗談みたいだとえみりは苦笑する。


食事をしてお酒も飲めるところがいいかもしれない。


えみりは携帯を持ち直して、彼との夜に相応しい店を検索し始めた。




その日は月がはっきりと見えるくらいの天気で、12月にしてはわりと暖かな夜だった。


検索して決めた店は、ホテルの中にあるイタリアンレストラン。


もちろんお礼のつもりだから、えみりがごちそうするつもりだった。


けれど大人の雰囲気の店など行ったこともないえみりが、背伸びしてみつけた店はどれも高額で手が届かない。


必死で探してようやく見つけたのは、お得なディナーキャンペーン中の店だった。


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