ダブルスウィッチ
皮肉なものだ。
女としての部分を捨てようと決意したばかりの彩子に、亮介の方から歩み寄って来るなんて。
それでも彩子はやんわりと亮介を拒んでいた。
なのに諦めることなく亮介は彩子に優しくキスを落とす。
結婚してから一度も見せたことのなかった甘い笑顔を向けながら。
泣きたくなる気持ちを抑えて、彩子はかろうじてキスだけは受け入れていた。
夢にまで見た亮介とのキスはそのまま流されてしまいそうになるほど官能的で、嫌になるほど上手い。
こんなキスが出来たのか?と思わせるくらい、一度も彩子にはしたことのないキスだった。
ごめんなさい……と、やんわり断る彩子にも、亮介は嫌な顔ひとつ見せず髪をそっと撫でていく。
それでも何日かすればまた誘うようなキスをするのだ。
3ヶ月が経った今でも、それは変わらない。
もしかしたら、えみりとの逢瀬がなくなり、誰かの肌が恋しいのかもしれないとも思う。
まだ40代の男盛り。
隣には一応、妻という名の触れていい相手がいるのだから。
女としての部分を捨てようと決意したばかりの彩子に、亮介の方から歩み寄って来るなんて。
それでも彩子はやんわりと亮介を拒んでいた。
なのに諦めることなく亮介は彩子に優しくキスを落とす。
結婚してから一度も見せたことのなかった甘い笑顔を向けながら。
泣きたくなる気持ちを抑えて、彩子はかろうじてキスだけは受け入れていた。
夢にまで見た亮介とのキスはそのまま流されてしまいそうになるほど官能的で、嫌になるほど上手い。
こんなキスが出来たのか?と思わせるくらい、一度も彩子にはしたことのないキスだった。
ごめんなさい……と、やんわり断る彩子にも、亮介は嫌な顔ひとつ見せず髪をそっと撫でていく。
それでも何日かすればまた誘うようなキスをするのだ。
3ヶ月が経った今でも、それは変わらない。
もしかしたら、えみりとの逢瀬がなくなり、誰かの肌が恋しいのかもしれないとも思う。
まだ40代の男盛り。
隣には一応、妻という名の触れていい相手がいるのだから。