ダブルスウィッチ
体の不調をときおり感じるのは年のせいかもしれない。

このまま拒み続ければ、亮介はまた他の相手に癒しを求めるんだろうか?

そんな不安もなくはなかったが、彩子はそこに重要性をもう求めてはいなかった。

自分とこの先も歩んでいこうと努力してくれている亮介。

それだけで以前のような不安や卑屈さは消えていく。

ソファにもたれながら、ふいにこみ上げる吐き気に彩子は眉をひそめた。

ここ数日、体調がよくない。

家事はしっかりこなしていながらも、食事を作るのが苦痛な時さえある。

亮介には気づかれまいと気丈に振る舞ってはいるが、ダルさの残る身体を持て余して、以前では考えられなかったが昼間うとうとと眠ってしまうこともあった。

年齢的に少し早くはあるが、更年期なのかもしれないと、彩子は自分の身体の老いを認めつつ苦笑する。

えみりの体から自分の体に戻ったせいで、やけに重たく感じるのかもしれない、と。

そう思うとえみりが亮介と別れてもいいから自分の体に戻りたいと願うのも無理はない。

40代に入ってから月のものも不順になりがちで、夫婦の営みがないせいでホルモンのバランスが崩れているのかもしれないと思ってはいたが、ここまで体調がすぐれないことはあまりなかった。




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