ダブルスウィッチ
〈鈴村えみり様
ご無沙汰しています
いつもテレビや雑誌などでご活躍ぶりを拝見していました
夢に向かって走り続けるえみりさんを見るたびに、自分も頑張らなくてはと何度となく勇気付けられた5年間でした
あの日の出来事は今でも夢だったのではないかと思うこともありますが、私たち夫婦がこうして今も変わらず夫婦でいられるのは、あなたが私の背中を押してくれたおかげだということに変わりはありません
亮介さんは今でもあなたを応援しています
それは口に出さずとも、私には感じ取れます
あなたと別れてもなお、あなたの夢を一番応援しているのは彼なのかもしれません
娘にあなたと同じ名前をつけたのは、彼への皮肉でも当て付けでもありません
単純にあなたのような強くて優しい、夢を追いかけることの出来る女性に育って欲しいと願ったからです
彼は私の提案に心底驚いていたけれど、それでも最後は受け入れてくれました
あんなに拒否していた子供の存在も、今では目の中に入れても痛くないほど、ただの親バカな父親です
私たち夫婦は、ぎこちないながらも娘の存在を介してなんとかうまくやっています
きっと優しいあなたのことだから、いつまでも罪の意識に苛まれているのではないかと思い筆をとりました
あなたの書く歌詞はいつも、私たちへの懺悔であり謝罪であることが感じ取れたからです
あなたの夢が叶うたびに私たち家族は幸せになっていくんだと思ってください
あなたの夢はわたしたちの夢でもあるのです
だから、これからは自分のためだけに夢を実現していってください
そして自分の幸せも見つけてください
それが今の私たちのささやかな願いでもあります
えみりさん、ありがとう
私もあなたのおかけで夢だった、子を持つことが出来ました
そしてあなたの言っていたような、普通の夫婦にもなれた気がします
完璧ではないにしろ、あの頃の異常な夫婦関係とは雲泥の差です
本当に感謝の気持ちでいっぱいです
これからもずっと応援させてください
あなたの幸せを願わせてください
それが私からあなたに出来る唯一の恩返しです
彩子〉