ダブルスウィッチ
そして一緒にジュエリーショップを訪れたとき、思いの外、彼がネックレスを選んでくれた。


好きなのを選ぶといいと言っていた彼がなぜそうしたのかというと、えみりが遠慮すると思ったんだろう。


大きめのダイヤがハートの中に収まっていて、可愛らしくも存在感のあるものだった。


「うん、えみりにはこのくらいの方がよく映える」


満足そうに笑みを見せた彼を見ていると、そうなのかな?と思えてくるから不思議だ。


プレゼント用に包んでくれようとしたそれを制してつけていきたいと言ったのは、早く彼に見てもらいたかったから。


「似合うよ、えみり」


彼の手が私の頬に触れてそのまま髪を避けるように首筋に触れた。


それだけで体が熱くなるのがわかる。


外で会うのをあんなに喜んでたくせに、なんで今はベッドの上じゃないんだろうなんて、恥ずかしいことを考えていた。


ちょっと待ってて?と言われて、えみりは首を傾げた。


買い物はもう終わったのに、店の前にえみりを立たせたまま、彼は中へと戻っていく。


不思議に思って中をチラリと覗いてみると、彼が何かを買っているのが見えた。


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