ダブルスウィッチ
そこを乗り越えて彩子のベッドに来るのは、もしかしたら自分のベッドが乱れるのが嫌なんじゃないかと思うときがある。


甘い囁きも優しいキスもないままに、色気のないパジャマを脱がされる自分は、いったい何なのだろう?


彼は誰でもいいのだ。


性別が女性であれば誰でも……


たまに沸き上がる欲をぶつける相手がいれば、それでいいんだと彩子は思ってた。


だから、正直ショックだったのだ。


浮気をする甲斐性があったのかと、驚きを隠せないでいる。


確かに三年前、彩子が子供を欲しがったときから、彼は彩子に触れなくなった。


それまでも二ヶ月に一度あるかないかの頻度だったけれど、それもピタリとなくなった。


だからといって他所でそれをしているとは、夢にも思わなかったのだ。


電話の向こうの相手には、どんな風に触れてるんだろう?


彩子と同じようにただ、処理するだけの道具ならまだいい。


けれどダイヤのネックレスをプレゼントするほど相手を思っているのなら、もしかしたら彩子には見せたこともない顔を彼女には見せているのかもしれない。


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