ダブルスウィッチ
夕食はいらないとメールがあるときは、先に寝てていいからという文面が続く。


毎日家で彼を待つ生活を続けていた彩子が、そう簡単に誰もいない家で一人眠れるわけもなく……


ベッドに横たわりながら、結局彼の帰りを待っていることが多かった。


だから彩子はすべて把握している。


何時に帰宅したのか?シャワーを浴びたかどうかでさえ、嫌でも全部わかってしまう。


セックスのあとには必ずシャワーを浴びる癖は、きっと浮気相手でも変わらないはずだ。


だからといって彩子にバレるのを恐れているわけじゃないんだろう。


いつもの習慣をいつも通りしているだけ。


起きて待ってられるのが、ただ単にめんどくさいだけ。


それでも彼が離婚しようと言ってくることはないと彩子は知っている。


例え、あの無言電話の彼女を気に入ってたとしても、彩子と別れて彼女と一緒になる可能性はゼロだ。


離婚が出世に響くことは、周知の事実。


だから彼は絶対に離婚はしないという条件を呑んだ、バカな女と結婚をしたのだ。


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