ダブルスウィッチ
何も身に付けていないえみりの体が、シーツを濡らしたのを感じた。


膝を擦り合わせてモジモジしながら、おさまらない体の疼きにどうしたらいいのかわからないでいる。


シャワーを終えて戻ってきた彼が、そんなえみりを見てにやりと笑った。


「どうした?えみり」


ハッとして顔を上げたえみりの顔は、わかりやすいほど紅潮していて、亮介は着替えながらわざとそう問いかけてくる。


「なんでも……ない」


もう帰ると言ってる彼を引き止めることなんか出来ない……とえみりは思う。


ましてや、まだ体が疼くだなんて、言えるはずもない。


ネクタイをキュッとしめ終えた亮介が、あとは上着を羽織るだけという状態でえみりに近づいてきた。


ギッ……とスプリングの軋む音がする。


ゆっくりと顔を近づけてきた彼が、えみりに優しくキスをした。


それから思い付いたようにシーツの中に自分の手を突っ込んで、えみりの下腹部をまさぐる。


自分が濡らしているのを自覚していたえみりは、恥ずかしくて体をよじった。

< 51 / 273 >

この作品をシェア

pagetop